「どうしたの?」
「………無理」
「何が?」







覗き込んで私が涙目なのに気付いたらしい。起き上がって私と向かい合わせに座る。






「アキノさん、何が無理なの?」
「何って…………」





聞かなきゃ分かんないの?何だか無性に腹が立って涙目のまま睨み付ける。
ライトはと言うと動揺するでもなく、臆する訳でもなく、平静そのもの。何なのその余裕。




「まさか高校生だとは思わなかった。昨晩、誘ったのは私。たぶらかされたって親に言ってもいいわ。責任があるのは私だもの。だから…無理。付き合えない」







その時ポロッと一粒の涙が零れた。なんでだろう。ううん、考えなくても答えは分かってる。

きっと昨晩の一回きりの出来事で私ライトを好きになってしまった。
たった一晩、それもうろ覚えなのに。はっきり覚えていないのに…
奥の奥に届くくらい激しく身を沈めながら、耳元で囁く甘い言葉。意識が遠のく私をつなぎ止めるかのように、たくさん名前を呼んでくれた。好きだよって言ってくれた。その行為が私の全身、そして全神経をライトのこと、好きにさせちゃったんだ。







でも今ならきっと忘れられる。これは夢だったんだって。
好きになってすぐの今別れれば傷も浅くて済むよね。







「嫌だね」
「なっ…………」









急に真顔になったライトに両手首を掴まれベッドに押し倒された。力を入れて抵抗してもびくともしない。若いと言ってもしっかり男の力。






「放してっ……今別れないと私っ」
「だから何でだよっ!ちゃんと理由きかせてよ。俺の事嫌いなの?」
「違っ…嫌いな訳ない!だって…」
「だって何?」








好きだよ。好きだけど………それだけじゃどうにもならないんだよ。




「だって私…ライトより…」
「六つ上なんだろ?」
「知ってたの!?」




思わずライトを凝視する。まだ真剣な顔のまま。