翌日はライトのご両親が仕事だからという事で、夕方には実家を退散。そのあと、予約しててくれたらしいホテルのディナーに招待されて楽しいひと時を過ごした後、別れてライトと二人帰路に付いた。
駅までの道程。もうすぐ冬、夜はさすがに冷える。
「寒いな~。もうちょっと厚いの来て来ればよかったかな」
風が入るすきを与えないように襟を交差させて身を縮めるライト。
「あはは♪若いのに寒がりだね。私夏の暑さより寒いほうが平気」
ライトのご両親に勧められるままにシャンパンを空けて、フワフワいい気分。
「そういえば俺たち知り合った夜もアキノは酔っ払ってたよね」
「え~そうだったっけ?」
「そうだよ。あの時アキノは野郎どもに絡まれてて…俺あんま喧嘩好きじゃないのに頑張ったんだから」
「……覚えてるよ」
忘れる訳ないじゃない。あの時震えながら見上げたそこには月の光を背中に浴びて私を見つめるライトがいた。とってもかっこよかったんだよ。
そっとライトの腕に寄り添い、あの時のように潤んだ瞳で見上げる。
「あ、その目。あの時もそれにやられたんだよ。絶対理性飛ぶから。もう誘ってるとしか思えない」
「誘ってるんだよ…」
私の言葉にびっくりしたのか、目を大きくして固まってる。私は視線を逸らさない。何秒か見つめあった後…………根負けて先に目を逸らしたのはライトだった。
『まいった……』そう呟いて口元を手で隠してるその仕草がとても可愛くて……
お酒のせいもあるのかな。ライトが欲しくて欲しくてたまらなかった。
「ん~……寄る?」
ライトが指差した先は駅前のホテル。ホントはこのまま帰宅する予定だったけど……家まで待てない私はそっと頷いた。