「……………」
「んもぅ。ごめんなさい婦長」
「あら、いいのよ?」
澄まし顔の婦長が出て行こうと背を向けたその時。
「待てよ」
「は?ちょっとその口の聞き方…」
普段目上の人にこんな口の聞き方しないのに……
「………から」
「え?何?」
ライトがぼそっと何か呟いた。よく聞き取れなくてもう一度聞き返す。婦長も足を止めて振り返った。
「これ以上待たせたくないから」
「ライト?婦長に何言って…」
「アキノと婚約する」
「…………は?…………………ええ――――――――っ!!!!………痛たたっ」
信じられないライトの言葉に頭がパニック。急に体を起こしたから縫った傷口が痛んだ。涙出る程痛かったけど、それどころじゃないよ。婚約!?私とライトが?だってまだ高校生……それになんで婦長にそんなこと。
「約束の金額までもう少しあるけど……何も言わせねぇからな」
本日いくつ目だろう……でもはっきり言って今日の中で次のライトの言葉が一番(婚約発言よりも)ビックリした。
「いいだろ?おふくろ」
「おっ…………いえぇっ!?うええぇっ!!」
「アキノ?何変な声出してんの?」
「あら知らなかった?この子私の息子♪」
二人に笑顔を向けられて……混乱と理解不能な内容にもうダメだ~!!
「うっそ~!!」
大声出して腹筋使った私はまたもやお腹の傷を痛める事となる――――――――