「おはよっ……あの、まず服着よ………きゃあっ」





布団で体を隠しながら慌てて下着を拾おうと手を伸ばすと、長い腕が伸びて来て体ごと引き戻される。





「もう着ちゃうの?綺麗な体なのに勿体ない。もっと見せて」




低く優しいアルトの囁き。昨晩耳元で紡がれた愛の言葉が蘇り、体の芯からキュンと甘い疼きが走る。





「アキノさんの身体出るとこ出てて……すっげぇイイ。肌は綺麗だし、いい匂いだし、マジ惚れた」
「ええっ!?」




驚く私を見て胸元に唇を寄せるとチュッとキスをする。





「忘れた?すっげぇ激しかったんだけど♪アキノさん可愛い声で鳴くんだもん。久々に燃えた」






今度は頬にキス。次はおでこ、瞼、そして唇…………




長くて熱いキスから開放され、夢見ごこちの私を見てスイッチが入ったのか、彼の右手が私の体を探り始める。




「ところでアキノさん………俺の名前覚えてる?」
「名前?聞いたっけ?」
「ダメじゃん」




がっくしうなだれてる。
記憶を探るけど……………ダメだ、全然思い出せない。




「ダメ、わかんない」
「ひっでぇ。昨日あれだけ呼ばせたのに………」





呼ばせた?呼んだっけ??





「あのね、ヒント」
「………?」





私をクルッと俯せにさせると、指でゆっくりと文字を書き始める。少しくすぐったいけど、忘れてるのが申し訳なくて意識をそれに集中させる。





「水………谷………光?みずたにひかる?」





そんな名前だったっけ?記憶が蘇ってこない。振り返って彼の顔を見るけど、フルフル首を振ってる。




「読み方違うの!」
「ごめん、降参」
「ライトだよ。みずたにらいと!」
「あ………」





思い出した。昨日何度も口にした。その名を呼ぶ度に気持ちは高まり、そしてのぼりつめた――――――




「よかった。思い出したみたいだね」