-PRRRR♪-
「ライト携帯鳴ってる」
「おぅ………あれ?アキノだ」
「カノジョ?」
携帯の液晶を見るとアキノから。さっき仕事行くって別れたばっかりなのにどうしたんだろう。
「もしもし?」
『あ、ライト?緊急なんだけど、片岡龍弥君て知ってる?』
「龍弥?同じクラスだけど…」
なんでアキノが龍弥のこと知ってんの?うちのクラスの元サッカー部の爽やかイケメンを。
まさかナンパ!?ちくしょー龍の奴~!
でも話は違ってた。急な腹痛で病院に運ばれるって。
-ガラッー
「HR始めるぞ~。こらっ水谷電話切れっ!」
担任が出欠簿構えて近付いてくる。
「………わかった。言っておくから」
頭の上に衝撃が落ちてくる間一髪のとこで携帯を切って身をかわす。事の次第を見守っていた連中も面白そうに拍手なんかしてる。
「センセちょっと待って!」
「待たない!俺からの制裁を受けるか携帯没収か好きな方を選ばせてやる」
ニヤッと笑う。最近ちょっと髪が薄くなった事を気にしてる28歳スケベな独身体育教師。あだ名はトム。
「いやどっちも選ばない。それよりヤバいよ。通学途中に龍弥救急車で運ばれたって。〇〇病院!」
一気に辺りがざわめく。でもトムの奴、嘘だと思ってやがる。涼しい顔で名簿をヒラヒラ。
「お前もうちょっとまともな嘘をつけ~。今日の体育はお前だけマラソンプラス10キロな♪」
周りから『ライトのこと信じろって~』『それでも教師かよ』『トムウザい、ハゲろ!』って超ブーイング。
「んなわけあるか!俺の彼女が現場に出くわして一緒に病院行ってる。担任と親に連絡入れろって電話だったんだよ。もし嘘だったら10キロでも20キロでも走ってやっからよ」