[理紗side]
 りさ
                   


――――――――蒼い空、白い雲、蒼い海。
地平線がよく見えるこの町。
東京みたいにすごい都会じゃないし、なにか有名なものがあるわけでもない。
そんな田舎町だけどイヤになったことは一度もない。

そんな蒼い色は私を癒してくれる。
蒼い色は私を悲しくさせる。
でも、そんな「蒼」に囲まれたこの町が大好き!




私が6歳のとき。
「理紗ぁー!!あーそぼ!!」
「うんー!!」
その声が聞こえると私は大急ぎで準備する。
お気に入りのバックに物を詰めたり、着替えたり・・・・。
6歳の女の子だって好きな人にはよく見られたいしね!
「理紗、遅いよ!」
「うん!今行くから待ってて!」

「今日はどこ行くぅ?」
「んー。海っ!海行こっ?」
「じゃっ!」
「「しゅっぱーっつ!!」」

キミは歩くのも走るのも速い。
運動が苦手な私じゃついていくのもツライくらい。
「はぁ.....。はぁ......。」
「理紗、大丈夫?歩こうか?」
いつものもの子犬みたいな王子スマイルを見せた。

今となってはすぐに行ける道のりも小さかった私たちには長く感じられた。
「冷たくて気持ちいね!」
「えいっ!」
蒼から水をかけられた。
あお
「もうっ!やめてよ!」
そんなことをしていたら、いつの間にか夕方になっていた。
「キ…キレイ…。」
「うんっ。そ…そだね。」
「蒼っ!門限に間に合わなくなっちゃうから帰ろう?」
「………うん。でもまだ帰りたくないな…。」
「……蒼?なにか言った?」
「ううん。なんでもない。帰ろ……。」

私はなぜか蒼がいつもと違うと思った。
だけど私はなにも気を留めていなかった。

――――――その日になるまでは………