その人は私をみていない。


あれ、私のことで笑ってたんじゃないのかな?



スマホいじってるし、
誰かとメールか、それとも
動画か何かを見て笑っているのかな。





なんだ、それなら良かった。



とひと安心し
見慣れた景色を眺めた。








『頭大丈夫ー?
バカになってない?』





『は?!』




バ…カ?



私、誰かにバカって言われた?



誰かと言っても
この車内には私と……






勢いよく横を向く。




『あ…』




目が合ってしまった。





やっぱり、この人なの?






あのスマホの彼。