「その、受験勉強の時に、いつだったかな…直斗さんに聞かれたの。千華には彼氏がいるのか、好きな人はいるのかって…すごく気にしてた」

「…へ?」

「とりあえず曖昧に答えた記憶があるけど、直斗さん…あの頃から千華が好きだったんだよ」

千代の言葉に、アタシは瞬きも忘れて彼女を見つめた。
見つめて、千代がニコッと笑ったら頬が、耳が熱くなっていくのがわかった。

恥ずかしくなって両手で顔を覆って下を向く。
恥ずかしくて堪らない、けれどそれ以上に嬉しくて仕方がなかった。

「ふふっ、千華もお熱いですねー」

「…うるさいですよ…」

(ああもう、これじゃ課題が進まないじゃないっ!)

ちらりと指の間から覗いたノートは、ほとんど白いままだった。