いきなり出るキッシーの名前。つか、あの子彼氏いたのか。
銀のチェーンをぐるりと回す。取れる金具のとこ、どこだ?
「昨日の夜、岸本恵が君を訪ねてあのマンションに来たんですよ」
「どうして?」
「助けて欲しい、と」
肩を抱かれて、校舎へ戻る扉の方に歩く。
ミカミの紅のセーターが当たった。
自分の体温より高いそれを掴む。
「クラギが来てから、なんだか便利屋みたいな扱いを受けることが多いですね」
「あたしの所為じゃない」
「だと言うのなら協力してください」
自然と顔が近付いた。唇の端に口付けを落とされる。