後退りしようとしたら、後ろから来た人にぶつかった。


「ごめん」

「いきなり後退すんな」


ミヤシタだった。昨日の今日で、会話を交わす新鮮味は無い。

その間にミカミが近付いて来たのに気付かなかった。手首を掴まれて振り向く。


「おいで」


おいで、という割に強引に手を引かれた。

ミヤシタが肩を竦めて教室へ向かっていく。

鞄を持ったまま、屋上へ行った。この前トーガに写真を見せてもらったぶりだ。

風のない今日だと青空が綺麗なだけだった。