「……恵?理恵?」



「…え?あ、ケン。おかえり」



ケンの帰宅にすら気づかず、ぼんやりと窓から外を眺めていた私は我にかえり、流れ出ていた涙を拭った



「…泣いてたのか?」



「ううん。――じゃなくて……泣いてた」



「…そっか…」



どこか暗い影を残したままそう言ったケンが、そっと寝室へと消えた