だけど男は怪しい笑みを見せ、怯むことはない。


「馬鹿じゃね?


それでも俺には人質がいるんだ。


たったこいつの命がどうなるかで、お前らガキは行動できなくなるんだよ」



そんな男の言葉を否定できない。


クラスのみんなは信じられないっていう顔で見てる人もいれば、顔を背けてる人もいる。


「あ、あたし先生呼んでくる!!」


そう新上が言った時だった。



また男は立山の肘を切りつけ、血を床に落とした。


それを見た彼女は、走りそうな足を止める。


「俺はコイツの息の根を止め、逃亡する。


先生に見つかったって、逃げ切れる自信はあるしな」



もう俺たちになす術は無い…。


無力にもこう諦めてる時だった。



「うわぁぁぁぁぁ!!!!」



俺と同じでどうすべきかを考え、それでも答えが出ない智美は大きな声で叫んだ。



そうか、その手があったか。



周りの奴らみんながそう思ったのだろう。



ほとんどの女子が叫んでいった。