女子トイレか?
あそこなら犯人である男は入ることができないし、何より鍵を閉めることができる。
でも鍵を閉めて何ができる?
ケータイすら持ってない。
それに今は何より、私の存在を知られたことで犯人は焦っている。
手段を選ばなければ、女子トイレにでも入るだろうし、
鍵をかけても壊すだろう。
そんな危険な賭けに出たくない。
自分の教室に戻ってケータイを取りに行こう。
そして上手く捲いて、誰かに電話しよう。
目的地が決まった私は、さらに走るスピードを加速させる。
犯人である男は、体力の衰えを見せない。
「待てよおい!!」
やっと男の声が聞こえた。
それに聞き覚えはなくて。
荒々しく言われることにより、止まる気はそうそう生まれない。
別の階段で下に降りる。
焦っている状態で、滑り落ちないか不安。
だけど何も起きず普通に階段を下りられた。
自分たちの教室が見えてきた。