彼女は私の言われた通りに、動いてくれる。
「では今から、この手錠を20秒以内に取りたいと思います!」
そう言うと…
「20! 19! 18…」
成川君がコールを始めた。
それに続いてクラスの人もしてくれる。
それが嬉しかった。
「5! 4! 3! 2! 1! …0!」
0になった瞬間、朝壬さんは布をどけた。
私が観客に見せたのは、取り外された手錠。
見事成功した。
そんな結果に盛大な拍手を贈ってもらった。
制服からハンカチを取り出して手を拭いていると、クラスのみんなは
観客席に向かって横一列に整頓していった。
私はその端っこにちょこんと存在しようとしたが…。
「加奈ちゃんはこっちね!!」
と、新上さんに強引に真ん中に連れて行かれた。
今ものすごく達成感が心の中にある。
みんなと同じ気持ちになっている。