すると意外にも涙がちょちょ切れそうになった。
今朝みんなが先生の髪型に大笑いした理由が、ここでやっとわかった気がしたから。
「先生、ありがとうございます。
私の心配をしなくても大丈夫なので、席から見ていてください」
「そぉか…
まぁ立山がそう言うなら…」
私の様子を心配してくれた先生に、戻るように頼んだ。
そしたら意外にもあっさりとこの場を後にした。
やっぱり自分たちのクラスが何をしたのか、目の前で確認したいんだな。
そう思った。
「そろそろ終盤に差し掛かってきました~。
ここでフィナーレを飾ってくれるのは…
私たちのかけがえのない存在、立山加奈ちゃんです!!!!」
突然ステージ上からそんな声がかかる。
先生との話に余韻が抜けてなかった私に、理解するまで少々時間を要した。
え…?
私がマジックをする…?
冗談じゃないよ、ろくに練習してきてないのに。
あの日を境に練習は全然やってない。