それはもう、やらないんじゃなかったの?
そう思ったけど、みんな何事もないように彼女の号令に従った。
そして各自配置につく。
確かにみんなの手荷物を見れば、マジックをやってもおかしくない。
本当にやるのか…?
疑いの眼差しを向けることしかできない。
そんな中、宇川くんだけは余裕の様子でこちらを見てくる。
かと思えば私にウインクしてきて、直ぐに前を向いた。
…なに。。。
私は上手く現実を受け入れられないでいる。
だけどそんなの関係なしに時間は進められ、グループごとにマジックを披露していっている。
成功する度に拍手が起きたり、歓声が挙げられたりしている。
参加してない自分だけど、それが嬉しく感じる。
…みんな上手く観覧客を騙せている。
それがまたすごい。
みんないつの間にこんなに上達してるの?