なぜならば担任が髪の毛全体をワックスで固めて、髪をまとめていたからだ。
いつもならそんなことしない。
時には寝癖が目立つ先生が…
今は髪の毛一本も落ちそうにないくらい、固められた頭。
初めて見た光景に、クラスに笑いが起きた。
しかし私はくすりと笑うだけだった。
「せんせー!!なんですか、その頭!!」
一人の女子が先生の頭を指さし、笑いながら聞いている。
「それは流石にワックスつけ過ぎでしょ~」
さっきの女子がいる場所の別方向から、男子の声が聞こえる。
そしてより一層笑いが大きくなった。
「なんだよ~みんな。
そんなに俺の頭が気に入らないのか~」
と最初は自分の身なりについて言っていたが、適当に流しては直ぐにみんなに
伝達事項を話した。
先生はそれを伝えると、笑いの余韻を残したまま教室を後にした。
担任がいなくなった今、今度は先生についての話が持ち上がっている。
どうせそれも直ぐに終わるだろうけど。
「立山、体調は大丈夫なのか?」
余韻が完全に引いてない中、私の席まで来た宇川くんが聞いてくる。