ドアの前に着くと、カバンのファスナーを開けて鍵を取り出す。
ガチャと音がすると、鍵をドアのノブから外す。
「私は大丈夫だから…。
明日もちゃんと行くから。
文化祭の準備、お疲れ様」
弱りきった声で精一杯に彼に伝えた。
「俺、この帰り道何も言ってねぇけど…
立山のこと心配。
でもずかずか入っても、お前が困るだけだろ?
無理しないで、何かあったらちゃんと言えよな」
ドアを開けようとすると、宇川くんにそう言われる。
何かあったら言えとか言うけど、実際連絡先知らない。
「どうやって伝えろって言うの。
連絡先も知らないのに。
私、宇川君と以心伝心したくない」
いつもの口調には戻るけど。
体調は著しくない。
「そのテンションでそれ言うなよな。
いつもよりすんげー傷つくから」