「私なら大丈夫だから」
か細い声で彼を否定しても、何の説得力もない。
だから納得してくれないんだ。
「いい。
ただ後ろを歩いてるだけでいいから」
そう言われて何も答えられなくなってしまう自分。
綺麗に拭ったキーホルダーを再びカバンに付け、カバンを肩にかける。
元気のない体を必死に動かす。
早く家についてくれと思うばかりだ。
フラフラ歩きながらも、無事にアパートについた。
後ろを振り返ると、ぶっきらぼうに立つ宇川くんがいた。
止まる私に、彼も止まる。
「ありがとう。 無言で私についてきてくれて」
「いいよ、これくらい。
それより最後までお前の無事を確認したいから、
お前が家に上がったのを確認したら、俺帰るよ」
俺に構わず家に入れ、そんな感じで淡々に言われた。
彼の言われたとおり、足を進める。