「そんなこと言って…風邪引くぞ」
「宇川くんにこんなことさせたら…あんただって風邪引くじゃん」
冷たくあしらっている私に、溜息を吐く彼。
せっかく手伝ってくれるって言うんだから、そうさせてもらっていいじゃん。
…でもこれだけは、誰にも手を出してもらいたくないんだ。
「ハックシュッ!!」
寒いせいで自然とくしゃみが出てしまう。
何十分経っても宇川くんは帰ろうとしない。
ただ私が探している姿を見てるだけ。
何もしてないのも寒いと思うけど。
それからまた、数十分した頃。
川に突っ込んで探していた手に、違和感が走った。
土を適当に漁ってみると。
そこには私が大事にしていた、友広くんから貰ったキーホルダーがあった。
「見つけた…」
つい呟いた声は、か細くて芯がない。
私の体力は限界に近づいている。