彼女の涙に、そっと包み込む中島君。
「あたしは…悪いことひとつもしないんだから…」
大きな胸の中にいる白川さんは、震えながらそう言った。
言い返すこともできなくて、川に進む。
肩にかけているカバンを下ろし、そのまま冷たい川へと入った。
数分が経つと、白川さんと中島くんはこの場を後にした。
私はそんな2人の行動を気にしない。
冷たい水と戦いながら、キーホルダーを探している。
友広くんを思い浮かべながら。
友広くんとの関わりを持たないことなんて、私にはできないんだから…
「立山はどんなの探してんだよ」
今までぼーと私を見ていた宇川くんは、ようやく動き出す。
しかし私は彼の力を借りようとしない。
近づいてくる宇川くんにこう言った。
「宇川くんに見つけてもらいたくない。
だから今の私に関わらないで」
視線は常に川の底。
川は濁っているため、目を凝らさないとよく見えない。