あっちでもない、こっちでもない。
右往左往している。
私が勝手に走り回っているのに、宇川くんは何も言わずについてきてくれる。
「どうして?!
どうして私についてくるの?」
息を切らしながら、私はそんな彼に聞く。
「お前が気になるから。
…それだけ」
ぶっきらぼうな彼の返事。
それに私は答えようとはしない。
そしてまた、少し走ると…白川さんはいた。
だけど…白川さんを見て、私は足が止まった。
私が見たものは、白川さんと中島くんが抱き合ってる所だ。
しかし私は空気を読まず、ずかずかとそちらに割って入っていく。
私の存在に気づいた白川さんは、勢いよく中島くんから離れた。
「返してよ、私のキーホルダー」
右手を彼女に向ける。
白川さんは、一旦肘を目に当てた。
その姿は、涙を拭き取るようだった。