そして、小さな声で、

「本当にいいの?」

「うん。なんで?」

「だって、芽唯本当は斗真と…」

咲はその先は言わなかった。

やっぱり私の予想は当たってた。

実は、私と斗真が付き合っている振りをしていることは、咲と悠斗先輩は知っている。

さすがに、親友には嘘つけない。

それは、斗真もわかってくれた。

まぁ悠斗先輩はおまけみたいなもんだけど。

まぁ知ってるから心配してくれてるんだよね。

でも、咲と悠斗先輩にはたとえバスでも思い出作ってほしいし。

「咲、私と斗真は偽恋人同士の前に友達だよ!だから大丈夫だよ。付き合ってる振りしてるからって、私と斗真の関係が変わったわけじゃないんだし。たから心配しないで。」

「ほんとに、いいの…??」

咲はまだ心配なようだ。

「咲は、悠斗先輩と思い出作って!それが私からのお願い!」

「…わかった。」

咲はやっと納得してくれた。

そして、私たちは先生の元へ戻った。

不思議そうな顔でなんだよ俺に隠し事してるのか〜?なんて冗談めいて言っていたけど、それ以上は聞いて来なかった。

そういうところが先生の優しさなんだなって思いながらも、深く聞かれなくてよかった。

こんなこと、先生には言えない。

嘘だなんて、絶対言えないよ。