「そうなんですか…」

それ以外何もいいようがなかった。

「ご存知なかったですか。それでは、あなたがあのグループの一員だった可能性は低くなりますね。つまり、あなたは被害者。グループがあなたの親の遺した金を狙い、襲った。確実に手に入れるため、親しそうな女性を誘拐した。そういうことでしょうか。」

そうかもしれない…僕の親を知っているから、狙った。
金があることをわかっていたんだ。

じゃなきゃ引きこもりになっていた僕が狙われるわけがないんだ。

もしかしたら僕の親は…

何もわからない。

ただ彼女を傷つけたのは、紛れも無く僕だ。

償っても償いきれないだろう。

どうすればいいんだろうか。

「違います。…僕は…僕はあのグループの一員だったんです。昨日あなたがいった通り手切れ金を用意したんです…。」

警察の刃物のような目が、僕を刺す。

「そうですか。あなたがもし、グループに怯えそう言っているのならとてもかわいそうですが、どちらにしても、銀行強盗の犯人として一度警察署にきてもらうことになるでしょう。」

「わかりました。」
「今日は帰ります。また後日伺わせてもらいます。では、失礼します。」
警察が帰った後、一人残された僕の病室は静まり返っていた。

ああ言うしかなかったんだ。彼女を巻き込まないためには…。

もう会えないかもしれない。
病院にいるうちにもう一度会いたい。

謝ったって許されることじゃないけど、僕はそれしかできないんだ。