目がさめたことはわかっている。だけど、瞼を開けたくなかった。

そこには当たり前に現実が待っている。

田中を探さなければ…

だけど、田中を見つけてどうする?借金を返せというのか?それとも、僕が立て替えるから帰ろうなんて言うのか?
そんなの田中は望まない。

いったい僕は何をしたいんだ。
田中に会えば答えは見つかるのだろうか。

わからない。

「おい。おい!」

誰かが僕を呼ぶ。…田中か。

ん?田中?!
僕は慌てて跳び起きた。
「田中さん!やっと会えましたね。ずっと探していたんですよ。」

「ああ、よくここがわかったな。心配かけてすまなかった。許してくれ。俺にはこうするしか…」

「わかっています。だけどこれからどうするつもりなんですか?」