ア「お前たちは昨日、北西部の繁華街にいたな。
カーソルト人はこの領地にはいない。
しかし、カーソルト人系の二人組の目撃情報があった。
お前たちの、前世の姿じゃないか?
2人とも得意だろう、化けるのは。
退院時も俺たちに化けて手続きを済ませていたし……。
違うのなら無断侵入ということになるが」
この空気には押しつぶされそうな気がする。
なんと答えるのが正しいのか。
まず正解なんてあるのか。
私が黙り続けていると、ユアンが顔を上げて言った。
ユ「はい、それは僕たちです。……その町の状況を見て、チームを作りたいと思いました」
お父様はユアンの目をじっと見た。
お互い全く逸らさない。
ア「まず何も言わずに出て行ったことは許されないことだ、分かるな?家にいるはずの2人にもし外で何かあっても、俺たちはすぐには動けない。それは嫌だ」
「うん」
お父様の雰囲気が変わったのがわかり、安堵しながら頷いた。