お父様は、お茶を飲みながら「で?」と言った。
部屋はピンと空気が張り詰めて、変に緊張してしまう。
ユ「お父様、領土の北西部の状態、知ってる?」
ユアンが沈黙を破った。
ア「北西部?」
予想外の言葉だったのか、お父様は怪訝そうな顔をする。
ア「どうしてそんなことを聞くんだ?」
ユ「最近荒れてるみたいだよ。仕事であんまり顔出せてないでしょ」
ユアンがポケットから1通の手紙を出した。
ユ「これ、昨日届いてた。ここにね、夜の街中が荒れてるって書いてあるの」
そう言って、お父様に手紙を渡す。
お父様は、その手紙を真剣に読んでいた。
これは、ユアンが昨日の女の子に書かせたものだ。
「書いてくれたら領主様に届けられるよ」と言ったらしい。
少し前の出来事が怖かった女の子は、書くと即答したそうだ。
ア「何でユアンが……」
ユ「昨日ローナと遊んでた時に郵便屋さんが来たけど、みんな仕事してて気づいてないみたいだったから。ね、ローナ」