ユ「……俺、聞き逃さなかったよ」
ユアンがこっちを向いて言った。
体はユアンであるはずなのに、すごく大人びて見えた。
ユ「ありがとう、藍乃」
「……聞き逃してよ。こちらこそありがとね」
私らしくないことを言おうとするもんだから、高揚した頬がどんどん赤くなるのが分かった。
「でっ……デート、用事なくて一日中楽しめるような時に……アエリス、いこ」
赤い頬を隠そうと言葉を続けたが、また柄にもないことを言ってしまった。
ユアンはキョトンとした顔でこちらを見ている。
「……嫌ならいいよ」
私が付け加えると、ユアンは目を見開いてブンブンと首を振りながら言った。
ユ「嫌なんかじゃない!!俺行きたい!!藍乃から言ってくれるだなんて思ってなくて、びっくりしてたの!」
「……私だってたまには……!」
そう言うと、ユアンは私を抱きしめて言った。
ユ「うん、ありがとう。次は絶対に行こう」