「うーん…」
「琴葉かっこよかったよ…!」
あれから一ノ瀬君は教室に戻ってこない。もう三時間目なのに。
「やっぱり言い過ぎたかなぁ…」

「まぁ、ちょっときついかなって思ったけど、みんなの気持ち言ってくれたみたいで良かったよ…!」
咲樹は明らかにショックをうけたみたい。そりゃそうだよね…あれだけ言われたら…
「やっぱり私、昼休み探してくる」
「じゃあ私も…」
咲樹が一緒に行ったところでまたなにか言われるかもしれない。
「咲樹、無理しないで」
「…うん、ゴメン…ありがとう」

そして昼休み。私は一ノ瀬君を探しに行った。
「いないなぁ」
思い当たりそうなところを探したけど、一ノ瀬君は見つからない。
「あとは…あそこか」
私は校舎うらの桜の木が植えてある場所へ向かった。
ここは人気が少ないから、一人になりたい時には絶好の場所。
木の根本のところに誰かが座っていた。