耳をすまして、階段を降りる音が聞こえなくなったことを確認すると
私は教室の中に入る。


「价くん!遅かったから迎えにきたよ!」


いつも通りの声、いつも通りの笑顔で話す。


「あ、あぁ…ごめんな…」


少し呆けていた彼だけど、私が来てハッとなったみたい。
心なしか少し顔が赤くなっているように見える。
まさか…嬉しかったの…?


「じゃ!帰ろっか!」
「あぁ…」






帰り道には、また私が学校であったことを話してそれを彼に聞いてもらっていた。
いつもより遅い時間だったので、帰っているのは私たち以外に見当たらなかった。
私はこれをチャンスと思い、さっきの告白のことを聞いてみた。


「ねぇ价くん!さっき告白されてたでしょ!」
「…!見てたのか…?」
「うん。入ろうとしたら聞こえちゃった」


「ゴメンね~」と笑いながら謝る。


「もし良かったら教えてほしいんだけど…あの子と付き合うの…?」


そして、私が一番聞きたかったことを聞いた。



しばしの沈黙。
そして…


「あぁ…そのつもりだ」








いつの間にか家についていた。


「教えてくれてありがとう价くん!じゃあまた明日ね!」
「あぁ…じゃあな…」


そう言って自分の家に入る彼。

彼が家に入るまで、ずっとニコニコして手を振っていた。
ガチャン、と扉が閉まり彼の姿が見えなくなった。










「さてと…始めなきゃね…」


私の顔から表情が消える。
そして、そのまま歩き出した。