「や…やめ………」




「………」


声が消えた。
さっきのような表情ではなく、顔から力が抜け、目は明後日の方を向いている。
私の腕を掴んで抵抗していた手も、力なく垂れ下がっている。


ちゃんと死んだことを確認すると、私は首から手を離した。
女の首には、私の手のあとがくっきりと残っている。


私は一旦、女の死体から離れると玄関の方へ向かった。
結構大きな声だったから、騒ぎに気づいていないか確認するためだ。

ガチャッ、と控えめにドアを開くと、周囲を見回した。それから目を閉じて声を確認。
けれど、遠くでカラスが鳴いている声しか聞こえず、とても静かだった。


「……」
「……」


部屋まで戻ってくると、やはりそこには女の死体があった。
当然のことながら、女はなにも喋らない。



黙って死体を見ていると、不意に優越感のようなものが込み上げてきた。



こいつは死んだ。
彼を誘惑するやつはもういない。
これで彼は私のもの…





「ふふ…ははっ…あはははははは!!!!」


私は嬉しくて、狂ったように笑いだした。


「ははははははは!!!!」


「へぇ…本当に殺ったねキミ♪」
「……!」