ピンポーン、と音がして数秒ほど待つ。
そしてインターホンから声が聞こえてきた。


「は～い。どちらさまですか～？」


あの女の声だ…
変に高い、媚びをうっているような声。
私はイライラする気持ちを静めて、言った。


「あの…仙道沙江さんのお宅はこちらですか？」
「はい…沙江は私ですけど…？」
「そうですか！あの、生徒手帳が落ちてたので届けに来たんですけど…」



まぁ、落ちてたのは本当だし、嘘は言ってない。
目的は届けに来たことじゃないけどね。


「え！？ありがとうございます！すぐに開けますね！」


インターホンから声が聞こえなくなり、パタパタという足音が近づいてきた。
そして、ドアがゆっくりと開いた。


出てきたのは、彼に告白したあの女。
ちゃんと顔とか確認してなかったけど、髪は黒くて艶やかなセミロング。
目は、パッチリ二重でまぁまぁ可愛い顔をしていた。


「これ、生徒手帳です」
「はい！わざわざ届けてくださってありがとうございます！」


渡した途端にニコニコ笑顔でお礼を言う女。
ムカつく……なんでこいつが…
こんなやつが…