一応表札を確認する。
表札には黒い太文字で仙道と書かれていた。


間違いない。ここは仙道沙江の家だ。
私は少し隠れて様子を見ることにした。


隠れてしばらくするとガチャン、と音がしてあの女の家のドアが開いた。


「じゃあ沙江、お留守番よろしくね」
「うん!大丈夫よママ!」


聞こえてきたのは、女の母親と思われる声と、あの忌々しい女の声。
先程の作ったようなしおらしい声とは違い、高いハイテンションな声に
少し吐き気が込み上げた。


「夜ご飯は、あなたの大好きなオムレツよ」
「やったー!ママ大好き!」


そしてマザコン…
あの女が本当に中3なのか、疑問に思えてきた。


「行ってくるわね」
「うん!いってらっしゃーい!」


母親が家から出ていった。
それから5分くらいして、私はドアの前に立った。


あの会話の内容から、この家にいるのはあの女だけ。
そう考えた私は即座に行動をおこした。






そして静かに呼び鈴を押した。