「ってかさぁ~、俺、レセとか発注とかで忙しいわけ。あんたらのコーヒー係、してる暇はねぇんだわ」
勘弁して、といわんばかりの安堂マスター。
霧澤さんの電話で、すぐに開かれた閉店のはずの『カフェ ステイシー』。案の定、マスターは残業をしていたのだ。
片付けられた店内に入り、カウンター席へ。
霧澤さんと社長の間に、私は座った。
マスターは悪態をつきながらも、私たちにコーヒーを出してくれた。
「いつも上手いな、ここのコーヒーは。おい、安堂。お礼にデートしてやるぜ?」
しゃ、社長!?デートって!?
「いゃ、遠慮するわぁ~~」
マスターは、やや震えながら涙目で答えていた。