霧澤さんは、ちらっと私をみると、エンジンを停止し、車から降りてきた。


私は突然のことにびっくりし、そのまま固まってしまった。


「おまえ、安堂から名刺受け取ってねぇのか?」


霧澤さんにまっすぐ見つめられて、声が頭に入らない。


「おい、受け取ってねぇのかと、きいてんだ」

私はハッと、気付き、慌てて答える。


「ちゃんと、受けとりました!!ありがとうございます!」

ぺこっと、頭を下げる。


「アドレス知ってて、連絡をよこさないのは、別に教える意味はなかったということか」


私は、不機嫌なオーラを感じた。