「何がもったいって?」


さらさらの髪をなびかせて、颯爽と霧澤さんが現れた。



「いやいや、こっちの話。ほらよ!」

といって、マスターは席についた霧澤さんに、ブラックのアメリカンを渡した。



きき・・・緊張する。
カウンターの一番遠い席に座った霧澤さん。
どのタイミングで、話しかけよう?



一人で悶々と考える。