「えっ?」


パっとその声の方を向くと、路地を抜け、立ち並ぶビルにもたれかかるように霧澤さんが立っていた。


もう会えないと思ってたのに・・・!

まさか、いるなんて。


霧澤さんは、私との距離を詰める。


「呼んだか?」


顔を近付け、除きこむように話す。


そして、

「今なら返してやるが?」


そういって、抜き取られたリングを見せる。


決心したのに・・・


もう会わないって決めたのに・・・


私は迷わず、霧澤さんの腕の中に飛び込んだ。