そりゃドラマとはいえ、あの仁くんだから、何するかわかんないよ?

でもでも、撮影中はいくらなんでも・・・


すると霧澤さんは、私を囲うように手をつき、上から見据える。

そして私の左手を手に取り、唇を近づける。


「おまえには、少しも油断できねぇな」


油断って・・・なんで?

私がしっかりしてないから?


「私は霧澤さんしか、見てないですよ」


こんなに好きなのに、疑われるの?


霧澤さんは、唇を落としていた左手を少し離し、ピンキーリングがはめられた小指の隣・・・
薬指をなぞる。


「いっそのこと、はめてやろうか?」