そう言い残し、仁くんは会場に戻っていった。

そんな姿をぼっーと見送っていた私の耳元で、

「おまえ、あんなのに怯えてたわけ?」

霧澤さんが、囁く。


だって、

「もしバレたら、霧澤さんに迷惑かかるから」

そう話すと、今まで抱き締めていた腕を解き、
正面に向き合ったかと思うと・・・


ビシッ!


「いたぁっ!」

デコピンされてしまった!

額を押さえて、霧澤さんを見上げると、


「何度も言うが、迷惑じゃねぇ。あと、バレそうになったからと、よそよそしい態度取りやがって」

その罰だ!と、飽きれ顔。


「ごめんなさい」