監督の声に、仁くんはパッと私から離れた。

ちょっとだけ、ホッとした私。


・・・それも束の間、

「結希ちゃん、ここ座って!」

仁くんに指を差されたのは・・・


「えっ!?ホントに・・・?」


ソファに寄りかかるように下へ座り込み、両足を広げた、その間だった。


「ほらほら!早く座んなよ!」

急かされても、座れないよ!!
そう思っていたが・・・


「いいねぇ、そうゆう感じ♪」

監督も乗り気になって、もはや私が座るのを、みんな待っている状態に・・・。


仁くんが、私のこと好きだとか、付き合いたいとか、そーゆー事をいわない人だったら、躊躇しないのに。

でも、仕事だから、大丈夫だよね・・・


私は、意を決して仁くんの前に座った。