その後、私は霧澤さんに連れられて会場を後にした。

しーん

二人きりの車の中は、いつも以上に冷たい空気が漂っている。

私は、話題を探した。

「今日、初めて羽柴仁くんっていう子と会ったんですけど、びっくりしちゃいました」

霧澤さんの反応は、薄い。


「初めてなのに、すごい勢いで・・・」

そこまでゆって、私は思った。

そして、少し間をおいて話し出した。


「初めて会った人に『好き」って、ゆわれてビックリしますよね。でも、私も霧澤さんに似たような事してますよね?」