「えぇ、ホントに。『好き』だとか『付き合う』だとか。結構なボリュームで聞こえてましたけど」

私の代わりに、綾辺さんが答えた。

霧澤さんの様子を伺ってみる。
いつも通りの、不機嫌な顔だ。

「『デートしよう』もゆってましたねぇ」

「俺だって、結希ちゃんとデートしたいわ!」

綾辺さんとマスターのやり取りが続く。

私はなんだか『誘いやすい女』みたいに思われたくなくて、言い訳をする。


「私、仁くんとデートなんてしませんよ!きっと会うのだって、これっきりですし!!」


ほぼ霧澤さんに向けて、言い訳してる私。