男はナイフを地面に刺し、私の上から退いた。


空を眺め、川を眺め、川沿いに並ぶ家々を眺め、最後にぽつりと呟いた。


「……ここは、何処だ? アラステアじゃ……ない?」


その呆然とした様子はどうやら私をからかっている訳でもなく、ふざけている訳でもないらしい。


本気だ。


その時ふと、さっきの光を思い出した。


あんな光、普通じゃない。


この男も普通じゃない。


「……あんた誰? アラステアって? 何者? さっきの光は何なの?」


私の質問責めに、男は溜め息を漏らした。