そこには、上体を起こしてきょろきょろと辺りを見回している私と同い年くらいの男がいた。


項(ウナジ)まである茶髪に吸い込まれそうな黒い瞳。


汚れが付着し、所々擦り切れているぼろぼろの衣服から伸びる腕は羨ましいくらい白い。

おまけに、鼻筋の通った顔。


十人中十人が認める美形だと思う。


「すっご……」


口から漏れた言葉に、男は直ぐさま反応してこっちを見てくる。


かと思ったら、一瞬にして地面に押さえ付けられた。


首に冷たくて硬(カタ)い物が当たる。