初めのうちはドリンクメニューしか置いてなかったカフェも、最近ではスープやサラダを付けてランチを楽しめるようになった。


その際、おばあちゃんと母さんが作る野菜にすごく助けられているのだ。


島で採れた柑橘類を使ったおばあちゃん自家製のドレッシングも、お客様に大好評だ。


コーヒーを運び、おばあちゃんと話していると、作業場から隆治が顔を出した。


「キヨさん、おはよう」


「おはよう、隆治。

今朝もお客さんでいっぱいじゃねぇ」


「ありがとう。お陰様でね」


隆治がニッコリ笑う。


「あんたらも結婚したんじゃけぇ、はよーひ孫の顔を見せてぇね」


「おばあちゃん、またそれを言う!」


結婚前はあんなに厳しかったのに、結婚した途端に子供を作れって極端過ぎる…。


「大丈夫だよ、キヨさん。バッチリだから」


「ちょっ、隆治!何言って…っ」


あたしは顔が真っ赤になった。


「朝晩あれだけ愛し合ってたら…、なぁ…」


耳元で囁く隆治。


「し、仕事も忙しいし、新婚旅行も行ってないし、まだいいもんっ」


そう言って、あたしはそそくさとその場から離れた。