チリンチリンと、店のドアの開く音がする。


「いらっしゃいませー」


カウンター越しに、あたしは元気に挨拶をした。


「おはよう、すずちゃん」


「おはようございます。木下さん、優子さんも」


「コーヒー、二つもらえる?」


「はい、かしこまりました」


木下さんは数年前にご結婚され、ご近所さんということもあってとっても交流が深い。


カフェがオープンした当初から、決まってお休みの日の朝には、こうしてご夫婦で隆治のパンを食べに来てくれているのだ。


「カズ君。パンは何がいい?」


「優子に任せる」


「はーい」


優子さんは今日も楽しそうに、隆治のパンを選んでくれる。


「ねぇ、すずちゃん。

隆治君のパン教室、今月はいつあるの?」


「今月は月末の水曜日ですね」


「本土の友達が参加したいって言ってるの。

あと2名大丈夫かな?」


「2名様なら、ギリギリ大丈夫ですよ」


あたしはレジを打ちながら、にっこり笑った。