「まぁこんなことは、これからいくらでも出来るか~」


隆治が嬉しそうに笑うから、ボッと頬が熱くなった。


「それより、すず。

俺、キヨさんに挨拶しなきゃ」


「うんっ。そうだね」


あたし達は手を繋ぎ、二人で勢い良く玄関の扉を開けた。


「キヨさーん!」


「おばあちゃーん!母さーん!」


あたしも隆治も大声で叫んだ。


すると台所からガタンと音がして、おばあちゃんと母さんが顔を出した。


「あれまぁ、隆治!どうしたんねぇ」


「隆治君じゃなーい。久しぶりねー」


「こんちはー!」


二人がパタパタと玄関に駆け寄って来る。


「どうしたん?また墓参りにでも来たんねぇ?」


おばあちゃんの質問に、隆治が首を横に振った。


「実は俺、東京のパン屋の仕事を辞めたんだ」


「はぁ~?辞めたって…、あんたこれからどうするんねぇ」


おばあちゃんが、ぎゅっと眉を寄せて問いかける。


「俺、こっちに引っ越して来た!」