店を出ると、俺はその足である人のところへ向かった。


その方向へ向かうのは、ものすごく久しぶりだった。


懐かしい駅に降り、これまた懐かしい道を歩き。


久しぶりの場所へと辿り付いた。


門を開け庭に入ると、ピンク色の小さな自転車が目に入った。


コロが付いてない…。


俺がここを出て行った時には、まだ三輪車に乗っていたのに。


もうこんな補助輪のない自転車に乗れるようになったんだ。


子供の成長って早いな…。


そんなことを思いながら、ピンポーンとインターホンを鳴らすと。


しばらくして、ガチャンと扉が開いた。


「あら、隆治…」


「よう」


俺は右手を上げて、にっこりと笑った。


「もう風邪はいいの?」


「うん。お陰様でバッチリ」


「そう。まぁ入りなさいよ。外は寒いし」


母親に促され、俺は靴を脱いで、自宅へと足を踏み入れた。