病院で千春ちゃんに真実を話した時、わかってくれたと思っていたのに。


どうして急に気が変わってしまったんだろう。


「今さらどんなに足掻いたってもう無駄なのに、どうしてわからないのかしら?

そんなことしたら、余計に男の気持ちって離れるのにねー。

隆治が初恋だから、変にこだわっちゃうのかなあ?」


呆れた顔のサエちゃん。


「すずちゃん、あんまり顔色良くないね…。

大丈夫?」


「あ、うん。大丈夫だよ。

ちゃんと薬も飲んでるし、病院にも通ってるし。

何の問題もないよ」


笑顔でそう言うと、サエちゃんも少し笑った。


「お店のご主人が早く退院するといいんだけど、今月はまだ無理なんだってねー。

別にさぁ、いつ話してもいいと思わない?

それで心臓がどうこうなっちゃうならさー、入院してる今の方が病院のサポート受けられるし、よっぽどいいじゃない。ねぇ?」


サエちゃんってすごくハッキリしてて、気持ちがいい。


なんだか昔の自分を見ているみたい。


あたしも昔は、サエちゃんみたいだったのになあ…。