あれから隆治は、お見舞いに来てくれなかった。


それもそのはずで。


隆治の職場のパン屋からこの病院は、意外に遠いからだ。


仕事が終わってから急いで駆けつけても、あっと言う間に面会時間が終わってしまうのだ。


年末で仕事が忙しいお父さんもなかなか病院に来れず、着替えなどに若干困っていた頃。


有難いことに母さんが、島から東京まで来てくれた。


病院に付き添いで寝泊りするのは結構しんどいことなのに、母さんは愚痴も言わずあたしのそばにいてくれた。


とりあえずあたしの経過は順調で、年越しを病院で過ごすことはなさそうなので安心した。


「ねぇ、すず。

あんたの病気のことだけどさ…」


二人でボーッとテレビを見ていたら、母さんが急に口を開いた。


「再発する可能性があるそうね…」


母さんの言葉に、ドクンと心臓が跳ね上がった。


「あんたの場合、細菌感染じゃなかったんだから、完全にストレスが原因だったのよ?

消火器に穴が開くほどストレス溜めてたなんて…。

一体、何があったわけ…?」